軽くまとめようと思って始めましたが、思ったより荷が重い作業でした。もっと大雑把にすべきでした。今後の反省材料で活かしたい。
第五章 信者の人権と生活を破壊する
ザイム真理教の脅し
宗教もウソをつくが、それはあくまで現世での信者に希望を与えて生きられるように「嘘も方便」として価値があるのだ、と。一方、ザイム真理教は、財政破綻すれば、ハイパーインフレーションや国債や為替の暴落が起きるぞと脅した上で、必要のない増税を繰り返して、国民生活を破壊してしまうのだ。
享保の改革などを例に、細かい数字を多用して解説しているが、比喩なので省く。
もともと徳川家康は「百姓どもを、死なぬように生きぬように合点いたし収納申し付けるよう」と命じられていたと伝えられている。
ところが幕府は百姓が死んでしまうほど年貢米の比率を上げたのだ…(ザイム真理教を喩えとしている)
日本は重税国家
海外との比較で、日本は「重税国家」だという。
国民負担率は少し古いデータが元になっているが、2020年のデータで見ると日本は第4位で英国とほぼ並ぶ。
しかし、統計データはよく条件を吟味しないと要注意だ。大陸欧州は社会保障や教育のサービスレベルが日本より格段に高い、という。ちなみに、2015年のOECD加盟国中、GDPに占める教育機関に対する公的支出の割合は比較可能な34カ国中で日本は最下位なのである。
日本が重税国家に変貌するまで
[図表10]消費税導入前(1988)と現在(2022)の国民負担率の比較
この表をじっくり観察して想像することにし、先を急ぐ。
なぜ日本は30年間成長できなかったのか
[図表11]消費税導入前と導入後(2021)の家計の比較
なぜ日本経済が30年間、ほとんど成長しなかったのかという疑問がしばしば提起される。イノベーションを怠ったから、終身雇用・年功序列処遇が時代に合わなくなったから、企業が雇用を守るために賃金を抑え込んだから、とか。
意見は色々であるが、この表を見れば答えは明らかだ、という。ならば先を急ごう。
第六章 教祖と幹部の豪華な生活
厚遇される国家公務員
カルト教団の教祖や教団幹部は豪勢な暮らしをしている。ザイム真理教の場合も同じだ。
財務省天下りの最高峰と言えるのが日銀総裁だろう。定年後は、天下り先で千万円単位の退職金をもらいながら転々とするという。
予算の削減に血道を上げる財務省が一切手をつけないのが国家公務員の人件費で、平均年収の実態は民間より54%も高い。
その比較データに非正規労働者の賃金が入っていない。森永氏は非正規社員の給与も加えて国民全体の平均に合わせるべきだと主張する。
国家公務員が迎える理想的な定年延長
公務員が民間に比べて優遇されている事実を述べているが、この詳細は省く。
国民年金延長は官僚のため?
データが多用され細かい。詳述は省く。
官僚バイアス
政府が子育て支援に終始している。なぜ出生数の増加に結びつく低所得者の収入底上げをしないのか、と問題提起している。現役子育て支援というのは、すでに結婚して子供を持つ親にたいするものであり、結婚できない経済的弱者層に対する手当てではない。これではパワーカップルの生活をますます改善する政策だ。‖👁️🗨️ 調査の内容にバイアスがかかっている、という。忖度のあるデータは、上位下達社会では仕方のないことだろう。それを常に加味して考察せざるを得ない。
第七章 強力サポーターと親衛隊
大手新聞社とザイム真理教の関係
ザイム真理教とマスコミ界との関係性を暴いている。
サポーターが大手マスメディア、親衛隊が国税庁だという。なるほど、たまに経済新聞など読むと、記事にもよるが、まさに財務省のお抱えかと間違いそうになる時があるのは確かだし他の大手新聞もそうである。その理由を本書で明らかにしている。簡単にいうと財務上の恩恵を受けていて、逆らえないのである。詳しくは省く。
富裕層というサポーター
富裕層を味方にしておけば財務省は天下り先に困ることはない。富裕層は政治的な力も持っているから、教団を守ってもらうには都合が良い。必然的に❗️負担増は庶民に押し付け、富裕層の負担は目立たないように!しかし猛烈に低くくすることになる。グラフもあるが省略。
退職金税制は誰のため?
富裕層を優遇する税制は他にもある…略
富裕層の相続税回避方法
略
富裕層は消費税をほとんど支払わない
富裕層は自分で会社を持っているか、会社の経費を自由に使える。例えば、会社で車を買えば車両代金だけでなく、ガソリン代や高速代などなど会社経費として支出した金額のうちの消費税は取り戻せるのだ。森永氏の知っている富裕層はほぼ全ての支出が会社の経費だそう。個人では消費税が戻ってくることはない。なるほど、である。カルロスゴーンは妻の誕生日に祝うパーティー券まで会社に付け回していた、という。これは流石に品性に欠けると思うが…
最強の親衛隊・国税庁
国税庁は税務の査察で行う経費認定で担当官の主観によるところが大きいという。そうなると企業に対する殺傷与奪の力を持つことになる。「富裕層が恐れるのは警察ではなく国税だ」と言われる所以だ。下手に財務省を批判すれば国税庁に手を回せるのだ。そんな権力を持つ国税庁が親衛隊なのだから、財務省に楯突くことはできない。大変な武器を持っているといえよう。
閑話休題 子供の頃聞いたことがあるが、私の親戚で名古屋方面の税務署の署長をしていたということを聞いたことがある。ずいぶん蓄財できたそうだ。なぜかはわからないが、権力はお金になるのだろう。
第八章 岸田政権は財務省の傀儡
私が岸田総理誕生を心待ちしていたワケ
→ 紙面の都合で略
緊縮に舵を切った財政政策
→ 紙面の都合で略
税収を増やす方法はたくさんある
この項では、一般国民の懐を痛めることなくさまざまな税収を増やす方法があることを示している。
財務省がなぜそれをしなかったのか。
それは、防衛費増税のどさくさに紛れて大衆増税の道筋をつけておきたかったのだろう、と、推定している。
爆発的に拡大した防衛費
インドやロシアを抜いて❗️世界第3位の軍事国家になる計算(1ドル130円として計算)である。👁️🗨️そこまでとは知らなかった。ただ漠然としていては、わからない。
国民の命より財政
→ 紙面の都合で略
岸田総理の変節
当初、「分配無くして次の成長なし」というキャッチフレーズが一般国民の生活改善につながると氏は期待した。
しかし、その後に変節してゆく様子が細かく描かれている。
あとがき
こんな暴露本をよく引き受けてくれた出版社がいたものだ。実際、ほとんど出版を断られたそうだ。森永氏は調査内容について大変な自信を持っている。しかし、これが国民に理解されるかについては自信を持てないと思っているようだ。それだけザイム真理教の影響力は並ではないということであろう。
それでも、まぁまぁ昔よりは楽な生活である、という面もある。結局のところ、なんとかなっている限りは面倒なことは考えたくない、気の持ちようで特段贅沢をしなくても幸福は得られるものだ。それに、一般的には信用して任せる側にいた方が楽な道なのだ。これが現状で多数の国民に受け入れられている隠れた原因ではあるまいか。
尚、森永卓郎氏は膵臓癌の第4ステージだと公表している。そのステージから復帰している人の話も聞き及んでいる。この方には頑張って生き続けて欲しいものだ。
以上、本の解説は思いのほか大変であった。今後、本のまとめ方の方法論を改善してまたいつかスキルアップして別のベストセラーの解説に挑みたい。しばらくは休止である(汗)。