日記241106(水)曇 晴間

ずいひつ

“きなこ”のこの頃

ふと”きなこ”の顔を眺めているうちに、随分年老いたな、と思う時がある。というのも、生まれたばかりの時に千葉県の果てまで娘のために譲り受けに行った時の子猫時代を知っているからだ。その頃と比べてしまうから、そう思う。

飯能に移転した時に荷物の中に”きなこ”が入っていた。サプライズではあったが,1人じゃ寂しかろうというのがあったのだろう。あるいは、お世話に飽きたり、とかもあるかもしれない。旅行に出かけるのに不便するのは確かだからだ。

あの頃から10年近くになるだろう。調べると、飼い猫の寿命は15〜20年だそうだから,人間で言えば、ちょうど中年にさしかかることになる。まだまだ元気な盛りだが、ふとした時に老け顔になるのだ。

そんな時、(おぃ、お互い老けたなぁ)と言って慰め合ったりしている。

当初、私にはなついていなかったので、触れると噛みつかれる勢いでやたら触らせてもらえなかった。そんな時期も過ぎ、今では吾輩の後ろにノコノコとついてくるようになった。

そればかりか、餌がなくなると独特の鳴き声で文句を言ってくるようになった。また、部屋から締め出していると、ドアをガリガリ音を立てて開けようとする。じっと我慢して放置し、我慢比べするが、根負けして開けると、虎さながらに、のっそりと入ってくる。そして足にまとわりつく。

ところで、その行為は、誰か教えたものではない。生まれながら備わっている習性である。これも、どうしてそうなのかは謎だ。

閑話休題。まもなく、池袋駅到着時刻だ。

とげぬき地蔵

途中下車してとげぬき地蔵界隈を散歩した。

とげぬき地蔵は巣鴨にある高岩寺(曹洞宗の禅寺で、開祖は道元(*1))の通称だ。「とげぬき地蔵」という名前の由来は、江戸時代に「お地蔵様が体の苦しみを取り除く」という信仰が広まり、病や痛みを和らげると信じられるようになったことにあるらしい。

この地蔵菩薩に触れることで、健康祈願や病気平癒の御利益があるとされ、特に年配の方々から篤く信仰されている。

小生は八百万の神を「想う」人間であり、特定の信仰はない。無神論者でもなければ、有神論者でもない。あるようで、ない。ないようで、ある。

しかし、伝統や文化とは、このような歴史的な言い伝えや習慣によって成り立っているように思う。信心深くはないが、伝統文化に触れるときには神妙な気持ちになるという自己矛盾を抱えた人物である。また、伝統や文化が失われれば、味気のない社会になるような気もする。ただし、御利益にはほとんど信を置かない。

道元が曹洞宗を開い頃の時代

(*1)道元が曹洞宗を開いたのは、正式には1244年(寛元2年)とされている。この年、道元は越前国(現在の福井県)の永平寺を建立し、そこを拠点として曹洞宗を広めた。

参考リサーチ

1244年前後の日本は鎌倉時代で、鎌倉幕府が支配する時代です。この時期の歴史的背景をいくつか挙げます。

▶︎ 鎌倉幕府の支配と御成敗式目

鎌倉時代は、1185年に源頼朝が幕府を開き、武士による統治が始まりました。道元が曹洞宗を広めた1244年頃は、執権の北条氏が権力を握っていた時代で、特に北条泰時が1232年に制定した「御成敗式目(貞永式目)」が重要でした。この法律は、武士社会の秩序を保つための規範となり、幕府の統治基盤を支えるものでした。

▶︎ 禅宗の台頭

禅宗は鎌倉時代に入って日本で広まっていきました。特に中国から渡ってきた臨済宗や曹洞宗が武士階級や知識人に受け入れられ、仏教の新しい潮流を生み出しました。道元は宋(中国)から帰国後、純粋な修行を求めていたため、儒教的な厳しい倫理観や実践が好まれた鎌倉武士たちにも影響を与えました。

▶︎ 中国(宋)の文化と交流

この時期、日本は宋との貿易を通じて多くの文化や知識を取り入れていました。道元も宋へ渡航し、そこで禅の修行を積み、帰国後に曹洞宗を広めることになります。また、茶や書道、儒教などの文化も日本に伝えられ、特に禅宗の僧たちが文化の伝達者となりました。

▶︎ 蒙古(元)の脅威

1244年時点では蒙古(元)による侵攻の危機はまだ表面化していませんが、ユーラシア大陸全体ではモンゴル帝国が急速に拡大しており、その影響でアジア全域の情勢が緊迫していました。日本でも後に元寇という形で蒙古襲来が現実化します。

このように、道元が活動した時代は武士政権の確立、禅宗の台頭、そして東アジアの動乱と文化交流が進行している時期で、これらの要素が曹洞宗の発展にも影響を与えたと言えます。

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禅宗]日本の禅宗は臨済宗と曹洞宗という流派がある。臨済宗は、禅問答を通じて悟りを得ることを目指します。曹洞宗は、ただ坐禅を組む「只管打坐(しかんたざ)」という修行方法を重んじます。

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