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今朝の日経新聞に次のようなタイトルの記事が掲載されていた。以下、現役時代の方のみならず、我ら老活時代に生き残る人のためにも進化の歴史を残すため、分析を試みた。
――SaaSの死、始まる マーケ部門の実態「この半年で思考が変わった」
最近、「SaaSの死が始まった」という刺激的な言葉がIT業界で語られている。
SaaSとは、ソフトウエアをインターネット経由のサービスとして利用する仕組みであり、企業は月額料金を払って利用する。顧客管理やマーケティングツールなど、現代の企業活動の多くがこの仕組みに支えられている。
ところが最近、ある企業のマーケティング担当者が次のように語ったという。「これまでは課題があれば、どのSaaSを導入するかを考えていた。しかし今は、AIを使って自分で作ればいいと考えるようになった」。この発言が象徴するように、生成AIの登場によってソフトウエアの世界が静かに変わり始めている。
これまでソフトウエアの歴史は、大きく三つの段階を経てきた。
最初は「パッケージソフト」の時代である。WordやExcelのように、完成したソフトを購入して使う方式であった。
次に登場したのがクラウドとSaaSである。企業はソフトを購入する代わりに、インターネット経由でサービスとして利用するようになった。
そして現在、第三の段階が始まりつつある。それが「AIを使って自分で作る」という記事の時代である。
生成AIやノーコードツールの普及により、専門のプログラマーでなくても簡単なツールを作れるようになってきた。
データ整理や業務の自動化、小さなアプリケーションなどは、AIに指示するだけでかなりの部分が作れる。
つまり、これまでIT部門や外部ベンダーに頼っていた仕事の一部を、現場の社員自身が行えるようになりつつあるのである。
もちろん、SaaSがすぐに消えるわけではない。企業システムにはセキュリティや大量データの管理、法律対応などの複雑な要素があり、すべてを自作することは現実的ではない。
しかし、AIによって「簡単なツールは自分で作る」という発想が広がれば、SaaSの役割は確実に変化するだろう。万能ツールとしてのSaaSではなく、基盤や部品としてのSaaSへと変わっていく可能性がある。
さらに重要なのは、この変化が企業の組織構造にも影響する可能性である。
これまで企業では、IT部門がシステムを作り、現場はそれを使うという分業が一般的であった。
しかしAI時代では、現場の社員がAIを使ってツールを作り、IT部門は基盤を整えるという形に変わるかもしれない。
これは単なるITの話ではなく、企業の働き方そのものの変化である。
歴史を振り返ると、同じような変化は過去にも起きている。
かつてコンピューターは専門家だけが扱う巨大な機械であった。それがパソコンの登場によって一般の事務職でも使えるようになった。
そして今、同じことがソフト開発そのものに起きようとしている。
老活世代にとっても、この変化は決して無関係ではない。むしろ生成AIは、高度なプログラミング知識がなくても、自分のアイデアを形にできる道具である。経験や知識を持つ人がAIを使えば、新しい可能性が開けるかもしれない。
「SaaSの死」という言葉は少し大げさである。しかし生成AIがソフトウエアの作り方を変え始めていることは確かである。
ソフトを買う時代から、必要なら自分で作る時代へ。この静かな変化は、長い目で見ればパソコン革命に匹敵するかもしれない。
AIとは単なる便利な道具ではない。人間の働き方や企業のあり方を、少しずつ変えていく力を持った技術なのである。
2026/3/9 8:00 記載

