ビットコイン下落の考察

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[経済動向編]

仮想通貨の暴落に関する考察と対策

ビットコイン(BTC)が最近下落している主な理由を整理する。「老活/人生100年時代」に絡めて論考した。

主な下落要因

  1. 流動性の低下・資金のタイト化  流動性(売買できる余力・厚み)が低下しており、少ない売買で価格が動きやすい状況にある。たとえば、1か月で市場深度(抵抗力)が大きく落ちたという報告がみられる。
     また、世界的にマネーが引き締め方向に向かっており、リスク資産(暗号資産も含む)に流れ込む量が減っている。
     人生100年時代を考えるならば、「余裕資金」がないとリスクに耐えられない。余裕以外の資金を暗号通貨で保持するのは得策ではない、という見方ができるのではないか。投資ならまだしも、投機になってはいないか、熟慮すべきだ。
  2. 中央銀行・金利環境の不透明さ  米国の 連邦準備制度理事会(Fed)が今後の利下げに慎重姿勢を示しており、利下げ期待が後退している。
     金利が下がらなければ、債券・現金・低リスク資産への魅力が保たれ、ハイリスク資産であるビットコインへの資金流入が鈍る。これは「老活世代」がリスクを避けて安全資産に傾く傾向とも似ている。
  3. リスク資産全体の売り・テック株との連動  ビットコインだけが落ちているわけではなく、テック株・暗号関連株の下落と連動している。
     つまり、「暗号=孤立した資産」ではなく、リスク環境(投資家心理・市場の雰囲気)の一部として動いている。人生においても「一部だけ好調」では続きにくく、「全体の流れ」を読むことが重要である。
  4. 大型保有者(いわゆる“ホエール”)の売り・利益確定  大口保有者が利益を確定する売りをしているようだ。これは必ずしもパニック売りではないが、マーケットの需給を悪化させる要因となる。
     我々の人生でいうと、“引退前に資産の一部を整理する”という心理に似ており、タイミングの読み違いが全体に影響を及ぼすという教訓でもある。
  5. テクニカル・サポートの崩れ・心理的節目の喪失  例えば「10万ドル」という節目を割り込むと、心理的に投資家の不安を刺激し、下げトレンドが加速しやすい。
     我々の身体や生活習慣でも「何かを守るライン」が崩れると、思わぬ連鎖が生じることを思い出させる。★テクニカル指標としては、上げ下げ五段階目に達しているので、下げ止まり感はある。

補足的視点

 ビットコインは「インフレへのヘッジになる」という通説があるが、研究ではむしろ インフレサプライズへの反応がマイナス というデータもある。 つまり、「インフレが来るからビットコイン買おう」という戦略は万能ではない。

 暗号資産市場はまだ成熟しておらず、少しのきっかけで大きく動く。例えば過去の大規模清算(ロングポジションの一斉決済)が下げを加速させたとみられる。

 また、長期的に見れば回復・上昇の可能性を指摘する分析も存在するが、短期・中期では「マクロ環境」と「投資家心理」が重要なカギを握る。先のことは全くわからないのがこの世界。つまり、投機的な面がまだ多々ある。


✍️老活と暗号資産管理

 本稿テーマの「人生100年時代に挑戦」という視点から言えば、70代〜80代などリタイア世代は 流動性低下・金利上昇・撤収のタイミング という構図を理解しておくべきである。ビットコインの動きが同じ構図で捉えられる。

 我らの年代において、資産配置を考える際に「リスクを取る時期」と「守る時期」のバランスを取ることが重要であり、ビットコインのようなハイリスク資産が一時的に下落したことも、教訓を含んでいる。少ない老後資産の変動を見ておくことで経済の動きを知る意義はあろう。

今後どのようなシナリオが考えられるか、次のテーマとして残しておきたい。

251115掲載