出典 東京新聞朝刊 2023/2/16
繰り返し報道される精神科病院の実態。このようなニュースに接するたびに思うのは、残念ながら現在の学問や法律では救いようがない社会問題のような気がするという事である。論ずることもタブーの領域なのかもしれない。
私は長年、人間の精神の領域について身近にどうしても理解できず悩み苦しんできた経緯がある。今持って解決しているわけではない。どうしても理解できない精神の領域があるのである。
この報道を知ることは容易にできるが、自らの言葉をに発することができない、理解できない領域があるのである。どうしても解決できない領域に衝突するのである。単刀直入に言えば、暴力を振るった人の気持ちがわからないわけではない、と言うことである。冷静に考えれば、そんなこともないのであるが、そうそう理想的には自らをコントロールできるわけでもないと言うことである。さらには逆の立場から見ると、当然に同じような感情を抱くであろうことも想像に難くないのである。人間は、否、生物一般に不可解な心身の領域を持つのであろう。答えのないのが人生とは言え、他人の幸せを祈ることは簡単であるが、その実現は困難に満ちているようだ。